はじめに
Jリーグチームの運営は難しい。特に大きなスポンサーやバックアップ企業のない地方クラブは。
チームは会社でもあるわけだから、限られた予算の中でいかに成績を残すか。
カテゴリーが下がれば、更に予算規模が減っていく。
そんな状況でチームの社長を引き受けた元前橋商業サッカー部監督の物語を紹介しよう。
タイトル:「乾坤一擲」
著者:伊藤寿学
カテゴリー:その他
発売日:2020/4/27
どんな本なのか
ザスパクサツ群馬の社長に就任した元高校サッカー監督によるチーム再建の物語である。
こんな方にオススメ
・教育者や指導者の立場にある人に。
・地元にJ2やJ3チームがある人に。
・ザスパクサツ群馬サポーターの方に。
オススメとマトリクス
おすすめチャート解説

・サッカーに関係なくても会社の再建物語としても読み応えがある。
・奈良先生の言動や振る舞いに多くの学びがあるだろう。
・読後の満足感は高い。
読者層マトリクス解説

・チーム運営というより会社運営の話なので、より高い年齢層向けだと思う。
・サッカーに詳しくなくても十分に楽しめるが、コアファンのほうがより楽しめそうだ。
感想など
帯に書かれている「元高校サッカーの監督が社長になって、窮地のJリーグクラブを建て直した」だけで、もう読まずにはいられない。そんな一冊である。
読んだ後には、少し自らの姿勢を正すような思いに駆られてしまった。
高校サッカーの名監督と呼ばれる人の多くは、思わず「監督」ではなく「先生」と読んでしまう人が多くいる。
奈良先生の場合もきっとそうなのだろう。
監督であり指導者なのだが、教育者という側面が強いのであろう。
恥ずかしながら「乾坤一擲」という言葉は使ったことがなく、改めて調べてみた。
運命を賭けて大勝負にでることを意味するという。
高校サッカーの監督であっても教員のひとりであり、定年を過ぎた状況でまったく経験のない会社運営の責任者になるわけだから、それは大勝負である。
きっと、それでもやるしかないと思えたのだろう。
個人的にすごいなあと感じたのは、自身もサッカー監督経験者であり結果も残してきた人でありながら、現場には介入しなかったところだ。
任せるところは任せると腹をくくれる強さを持った方なのだろう。
そして人間的にも魅力のある人だったのではないだろうか。
まとめ
今回は「乾坤一擲」を紹介してきた。
チーム再建のノンフィクションでもあるのだが、教育書でもあるかのような一冊であった。
読みたいと感じ、読んだよかったと感じる本に出合えることができた。

